初心に返りたい

なんかいろいろそういう感じです。
リセットっていうかリフレッシュっていうか。
んー……



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「最近あんまり読めてない気がする」


 むむむ、という顔をして先輩が唸っている。とは言っても、何冊くらいですかと聞いて返ってくる数字は、世間一般からすれば十分多いそれ。確かにこの人にしては少ない気はするけど、別に無理して読むもんじゃないし、ねえ。


「別にいいじゃないですか、じっくり読んで悪いことなんてないと思いますけど?」
「そうじゃなくてさ、単に読む時間が取れてないっていうか」


 へえ、それはホントに珍しいかも。買ってるか読んでるかの人なのに。ああ、あと積んでるとか。


「……今、なんか失礼なこと考えなかった?」
「いーえ、別に? 誰もが考えるようなごくごく一般的なことしか」
「嘘だ……」


 やだなあ、疑り深い先輩。読めてないとかいわれたら、誰だってそう思います。……たぶん。


「最近ちょっと出かけすぎかな」
「いいことじゃないですか。これまで引きこもりすぎだったんですって」
「遠出は疲れる……」


 あなたどんだけ、と言いたいところだったけど、それに続いたまあ楽しいけどさ、という台詞に免じて許してあげました。感謝して下さいよね! でも、もうちょっと体力というか、その辺どうにかした方がいい気はします。わりと本気で。


「誰かさんがすぐ連れ出すから」
「えぇ……僕が誘うより先についてくる人が何言ってるんですか」
「……見解の相違があるようだね」


 いやそんなおおげさな話じゃないでしょうに。あと僕が言ってる方が正しいです。間違いない。


「でもさ、そっちはあれだけ出かけてて、よく読めるよね」
「いや、僕の場合はなんて言うか……日常、なんです」


 手を伸ばせばそこに物語がある、ということ。
 それはまあ、きっとあんまり普通じゃないことなんだろうけど、これまでずっとそうだったし、これからも当分はそうなんじゃないかなあ——と、これは根拠のない予感。でもそんなに外れてる気はしない。


「さもなきゃ病気です、きっと」


 そうそう治らないですよ、と笑ってみせると、病気ねえ、と先輩も苦笑い。


「伝染るから寄らないでほしいな」
「何言ってるんですか、僕より重度のくせに。積んだ本が崩れてきて埋もれるとかないですよ、どう考えても」
「うるさいよ!」


 こんなことやってるから、類友とかなんとか呼ばれちゃうんだろうなあ、とは思いつつ、これはこれで、まあ、うん、その、楽しくないこともない、かな。そんなにしょっちゅうはどうかと思うから、あくまでたまには、だけどね!



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「たまには、っていうか、ねえ?」
「……どう考えても毎日」
「まあ、私は連載を続けてくれれば何も言わないけどさ」
「うー、先輩わたしの言うことは全然聞いてくれないのに……!」
「そもそも、あたしたちのいる目の前でよくやるって思わない? もっとやれって感じもするけど」
「天然」
「これはこれで需要あるから、裏家業の方は願ったり叶ったりよね」
「先輩のばーかっ」


外野はこんな感じなんですかね……
部活は一応文芸部兼よろずお悩み相談所(会長が勝手に依頼人連れてくる系)のような気もしてきました。
……ネタかぶりともいう。