疲れているので番外編に逃げます

正直、キャラが増えるので自由度が上がって楽なんです。
……でも今日気がついた。
これそれなりにまじめに考えないと、いつもの以上に話の中身がなくなるってことに!(遅い
あと、まだまだ出してない人たちがいるので、やっぱり一回ちゃんと考えて整理してみるべきかなあ……
まあ、今日は例によって例のごとく、あまり中身のない感じで(僕の中では)準レギュラーの会長様です。
だって便利なんだよこの人……頼りすぎるのよくないんだけど。



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「ハードカバーに手をつける前に文庫に落ちる」


 ぴきっ、と場の空気が凍る音がしたような気がした。心なしか、言った先輩自身の顔も引きつってる気がするけど……じゃあ言わなきゃいいのにね。


「ええと……買ったかどうかわからなくて、迷ったあげくに買わないで帰ったら、やっぱり買ってなかった」


 いい加減に買ったり読んだりしてると、ホントにあるんですって、そういうこと。逆の『買ってないと思って買って帰ったら家にあった』よりはマシ、じゃないかなあ。どっちもどっちって言われたらそれまでだけど。
 いや、っていうかさ。


「これどんな暇つぶしなんですか、先輩」
「面白いことやれって言うから……」


 投げやりにぼやく先輩の視線の先には、いいから続けなさいよう、とのたまう会長様の姿。またしても暇つぶしに来ていらっしゃるのでした。下手に有能すぎるから、すぐタスクこなして遊びに出ちゃうんだよなあ、この人……


「心にもない言葉で傷つけ合う二人とか、そんなふうに適当に変換して聞いてれば楽しいわよ? ねえ、コモリちゃん」
「んー、やっぱり先輩たちっておかしい……じゃなくって、面白いなあって思うけど。あと、コモリちゃんって言わないで下さい!」
「そういうところがコモリちゃんなの。あーもう、どうしてこんなにかわいいのかしら!」


 持って帰りたい!、とかなんとか、またネジのゆるんだ発言が続いたりして、ほんとなーこういうとこなきゃなー、と思ってしまう僕はきっと悪くない。本人に言うと、それがあたしなのよ、とか妙にキリッと返されるんだろうけど。


「はあ、もういいですよねこの辺で。疲れるんですよこれ……」
「あたしはもっと傷つけ合う二人が見たいんだけど?」
「だからなんでそうなる」
「もう、わかったわよ。じゃあいつも通りいちゃいちゃするので許してあげる」
「誰と誰がいちゃいちゃするって?」
「会長は疲れてるんですよ、先輩。ほっといて休ませてあげましょう」


 本当、何しに来てるのかなあこの人! 天は人に二物を与えるべきだよね絶対、うん。仕事も出来て人格の捻くれてない会長、どこかに落ちてないかなあ! 先輩見つけてきてくださいよ。


「そういうところがいちゃいちゃだと思うんだけどなあ、僕」
「そうよね。ああ、でもこれでまた筆が進むわあ♪」
「……会長? まさかまた何か変なの書いてません?」
「やあね、その筋では大人気なのよ? 自信を持っていいと思うわ」
「なんの自信だよ!」


 先輩は元気にくってかかってるけど、あの人には逆らうだけわりと無駄だしなあ……その辺はもう割り切って考えることにしてます。だって勝ち目とかないし。
 さて、あっちはあっちでがんばってもらうことにして、僕はおとなしく読書でも、とページを開こうとすると、いつの間にかこっちに避難してきていたコモリちゃんに、ちょんちょんと肩をつつかれる。


「いいの? 止めなくて」
「うーん、あれはあれで恒例行事っていうか」


 ケンカするほどなんとかの一例だよね、きっと。先輩の方は全力で否定しそうだけど。


「僕もそうだけど、先輩もわりと楽しんでるよね?」
「……まあ、そう見えるんなら、そう、かもね」


 そんな返事を返しつつ、微笑ましい——なんて言ったら、会長はともかく先輩は怒ると思うけど——どたばたを眺めつつ、二人してちょっと苦笑い。これがだいたい、僕らの日常、だと思う。たぶん。
 え? それでホントのところどうなのかって?
 やだなあ、そういうのは言わぬが花、じゃないかな。だよ、ね?