第二弾って食べれるの?
そんな不穏な単語が飛び交う今日この頃。
締切後に書いた分は、自動的にストックされているそうです。
なんて恐ろしい……
まあでも、それはそれで置いとくとしても、誰かさんがいない間にサボってたら、後で「なんで書いてないの!(ばんばん!!」とかそんな感じで怒られる予感がそこはかとなくする。ので。
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「別に無理に書けって言わないけどさ」
そう口にしながらも、意地の悪い笑みを浮かべる先輩。にやにやしたその顔が、なんて言うかもう、小憎たらしい!
「書いてくれたら、僕は嬉しいなあ」
「……先輩、それ書けって言ってるのと同じじゃないですか?」
「えー、そんなこと言ってないしー」
また白々しい。ここはやっぱり一度ガツンと言っておかないとね。うん。
「あのですね先輩」
「ん?」
「お話を書くのって結構大変なんです」
「ふうん、いつも30分くらいでぱぱぱっと書いてるみたいだけど」
ぐ、ぬ……べ、別に時間の問題とかじゃないんですよ。集中力っていうか精神力っていうか……とにかく、大変なものは大変なんです!
「それを毎日やるっていうのが、いったいどういうことなのかと言うとですね」
「知ってる」
「はい?」
「うん、だからそれは知ってるんだってば。僕もこの間ちょっとまねごとでやってみたけどさ」
あれを続けるのは大変だよね、と。珍しく——いや、本当に珍しいんだ、こういうの——邪気のない表情で先輩が笑う。その様子になんだか不意を打たれたようになって、だったら、と切り返そうとした言葉を思わず飲み込んでしまう。
「だけどさ、読みたいんだもん。しょうがないよね、好きなんだし」
いやそこはしょうがなくないです。ないんですけど……!
「だから書けとは言わない。でも」
そこで一度言葉を切って。
「書いてくれたら、嬉しいなあ」
こちらをのぞき込むようにしながら、先輩はそう締めくくった。
……なんかさ、こういうのってあれだ、そう、ずるい! ずるいよね絶対! なんかよくわかんないけど! ずるい!
「……先輩」
「ん、なに? 僕のことは気にしなくていいからね? 書くならじゃんじゃん書いちゃっていいよ」
「そんなじろじろ見られてたら書きにくいんですけど!」
「あ、書いてくれるんだ」
「あれだけ言っといて……!」
読みたいって言っただけだもんねー、としれっと言ってのける様子は、もう小学生っていうかなんていうか。ホント最悪だなこの人! ばーかばーか! 先輩のばーか!
「はいはい、んじゃちょっとぶらぶらしてくるよ。1時間くらいでいい?」
「30分で、いいです」
強く言い切った僕に、本当にいいの?、という顔をしてくる先輩だけど、いいんです。平気です。どうせ僕は30分でぱぱっと書いちゃう人間ですし? それだけあれば余裕でーすーしー?
「了解。それじゃ楽しみにしてるからねー」
のんきな台詞を残して、ひらひらと手を振って先輩は出て行った。途端、しんと静まりかえる部屋の中。そりゃそうだ、ここにはもう僕しかいないんだから。
僕と、まだ何も書かれていない紙切れだけの、静かな部屋。
「——よし」
それじゃあ始めよう。
何を書くかなんて全然決めてないけど、大丈夫、いつも書き始める前はそんなもの。書き出してしまいさえすれば、きっと何処かにはたどりつく。僕はそれを知ってるし、信じてる。
夢物語だっていいんだ、きっと。誰か一人にでも届いたなら、それは小さくても物語、なんだ。
だから。
絶対、絶対面白かったって言わせてやる! 覚悟しといてくださいよ!
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先輩はわるいおとこなので、出てった先で、新作書かせといたからー、とかやってるに違いない。
わるいおとこ!