ぼんやり系

需要など知らぬわー。
そしてにわかにマジメに長編書けよ熱が一部方面で高まっておりますが、しばらくゆっくり考えますというかまだほとんど何も考えてないんだよ!
変にラストシーンだけなんかあるけど。
どう繋げたもんか。
それはそれとして今日の。
連続も来月頭予定の打ち上げ(に似て非なる何か)の日までかねぇ。
そしてリアルタイムで書かされる未来しか見えない。



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「結局、読んでる量より買ってる量が多いからこういうことになるんですよね」


 毎度のように、先輩の部屋で片付けの手伝いをしつつ、ぼやいてみる。そっちだって同じじゃないか、と言わんばかりのじっとりした視線が飛んで来てるのは、まあたぶん気のせいなので置いといて。


「ここはやっぱり、計画的な購入を」
「そんなこと出来ると本気で思ってるの?」
「……や、やれば出来る?」


 何故疑問形って、そりゃもちろん無理だと思ってるからです。世の中にはそういうことも、まあ、あります。あるのです。残念ながら。


「でもほら、せめて一時的にでも積みを減らすのに、しばらく買うのを我慢するとか」
「で、反動ですごいことになるんだよね。知ってる」


 誰かさんが見本見せてくれたもんね、とかにやにやする先輩は、わりとひどいと思います。知ってましたけど。むしろ有名です。知らないなんてモグリですよ! ……いやなんのかはよくわかんないですけど。


「読みたい本がないよりはマシなんですけどね」
「それはそうだけどさ」


 ほんと、なんとかなんないかなあ、そう嘆く先輩の視線の先には、やってもやっても片付かない本の山。いっそ、もう読みそうにないものは手放してしまえば、そう言ったこともあるけれど。


『読みたいから買ったんだし、いつかちゃんと読むって』


 いつか。
 次から次へと新しい本がやってきて続々と積み上げられる、そんな現状を思えば、それは本当にやってくるのかこないのか、ちっとも定かではない遠い未来の話。
 だけど、読むよと笑った先輩の目はほんの一欠片もそれを疑ってなくて、なんだかもうずるいと感じてしまう自分までいたりして。うん、そう感じるのは、どう考えたって僕の方が悪いのはわかってる。それでも、なんか、ね。


「この部屋が空っぽになる日も来るんですかね」
「それは無理なんじゃないの?」


 だってさ、と先輩が口にした瞬間、タイミングを計ったようにインターフォンが鳴る。……あれですか、今日のお届け物ですか。たった今、形ばかりとはいえど整理したのに。こやつは。


「まあ、考えようによっちゃ幸せってことじゃない? 僕ら」


 ごそごそと印鑑を取り出しつつ、先輩が言う。
 しあわせ、ねえ。
 ものは言いよう、な気もしますけど。


「むしろ病気だと思います」
「どっちだっていいじゃん。楽しいんだからさ」


 どんな苦労も不毛さも、結局そこに尽きるのか。
 でもまあ、そうだよね。ただ好きで楽しみで、それだけでどうしようもなくてここまで来たんだから。だったら、せいぜい全力で楽しまないと。


「それで、今度は何を?」
「この間散々オススメされたやつと、新刊と……」


 そのためにも、まずはさしあたり、今目の前にある新しい物語を。
 そして願わくば、それがいい出会いでありますように。