塵も積もれば五分の一くらい

なんか完成品の六分の一弱相当なページ数が、自分のアレに割かれてるんじゃないか疑惑。
おかしいですよ編集長!
でもあれだけぎっちり字を詰めて、三段組みにしてそうなんだから……
そして連続して読むと胸焼けしそうで、つらくて飛ばすレベル疑惑も。
怖すぎる。



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『これだけ言っても片付かないんですね』


 むしゃくしゃしていた、っていうのは、まあ、認める。だって先輩ときたら、ひとがどれだけ口酸っぱくしようが、手伝おうが、あっというまに盛大に散らかしちゃうんだから。


『なら、しばらく買うのを控えた方がいいんじゃないですか?』


 だから、その台詞はきっと勢い。そこまで深く考えて言ったわけじゃなかったんだ。
 なーのーに!


「ねぇ、今月出たアレ、面白かった?」
「え、いやまだ積んだままで読んでないですけど」
「なんだ、そうなの……」


 ちぇ、と心底残念そうな顔をしてから、でもさ、と今度は不満たらたらの表情になる先輩。


「ひとに買うなって言ったくせに、自分は買ってるんだ」
「……僕は別に部屋を本で散らかしたりしてないんですけど?」
「いいなーずるいなー」


 話聞けよ、と言いたいところなんだけど、それで聞くならそもそもこんなこと言わないよね。けちー、とかなんとか言っちゃってるのを見ていると、精神衛生上たいへんよろしくないというかありていに言ってむかつく! すごいむかつく!


「せめて少しは積みが減るまでガマンして下さいよ。読むものなくなるわけじゃないんだし」
「だってやっぱり新刊は早く読みたくない?」
「そりゃそうですけど、それで読み切れてないからああいうことになるんじゃないですか」
「ああ言えばこう言う……」


 あれから毎日この調子で、正直なんかもういっぱいいっぱい。そんなに言うなら、勝手になんでもかんでも買えばいいのに——そう考えて、ふと気がつく。


「あの、先輩」
「なにさ、いじわる後輩」
「そこまで言っといて買わないのって」
「決まってるじゃん。君と約束したから」


 約束は守る男ですよ僕は、なんて無駄にキリッと言ってくれちゃったりする辺りは、やっぱりなんかちょっとイラッとする先輩なんだけど。そんなふうに言われちゃったら、なんか完全に僕が悪いみたいじゃないですか。全然悪くないとは言いませんけど!


「……はあ。部屋、片付きました?」
「ん? そりゃまあ少しはね。減る一方なわけだし」
「そうですか。だったら、別に買ってもいいんじゃないですか」
「え、嘘ホントに? もうがんがんいっちゃうよ?」
「いやそれはやめてください……せめて読み切れる分だけでお願いします」


 えー、とまたイヤそうな顔をする先輩だけど、ここはさすがに譲歩出来ないところ。むしろ、これだけでも十分甘すぎるんじゃないかなって個人的には思うんだけど。


「あんまり綺麗にしとくと、手伝いにも呼べないしなあ」
「あのですね、普通ひとをそんなしょっちゅう部屋の片付けでは呼びません」
「だって一緒にやると楽しいじゃん」


 口をとがらせてそんなこと言われると、なんとも言い難い気分にちょっとなっちゃりしちゃうけど、ここは心を鬼にして。


「ちゃんと片付けられる人とだったら、楽しいかもですね」
「む。それ僕が片付けられないって言ってる?」
「片付けられた試しがないじゃないですか」
「……さ、今日は帰りに久しぶりに本屋に行こうかな」

 逃げやがった。
 まあ、ぐちぐちねちねち言われるよりよっぽどいいんですけど。ホントもう、頼みますからあんまりみっともないとこ、見せないようにして下さいね、先輩。



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翌日気になって見に行って、早くも惨憺たる状況と化していることに第二次騒動が勃発するのは確定的に明らか。
犬も食わない。