習慣付くって恐ろしい

生暖かくまだまだ行けると言われたので。
リーマンか学園、という話もありましたが、正直前者はこの作風だと料理しづらい(誰か見本書いてくれたら、それベースにアレンジは出来なくもないとは思います)、後者は未だキャラが固まらない(今日たまたま、レーター様がすんばらしいイラストをあげて下さったので、なんとなくそれベースに主要なメンツは見えてきた気も)、ということで引き続きリリカルな感じで。
リリカル……?



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「ごくろうさまでした」


 はい、と差し出したお茶のペットボトルに、律儀に代金を払おうとする先輩を、いいですよと笑って押しとどめる。あれこれ大雑把なわりに、細かいところでマジメな辺りは、なんともこの人らしい。


「こういうのは苦手なんだよなあ……」
「たまにはいいじゃないですか。それにちゃんと盛り上がってたし」


 今日はいつもいろいろと——この『いろいろ』には本当にいろんな意味がこめてあるんだけど——お世話になってる人に、ささやかなお礼も兼ねつつの誕生日パーティ。そのとりまとめをやったのが先輩、なのでした。


「って言っても、お店は候補出してもらった中から選んだだけだし、サプライズも結局特になかったし」
「サプライズは……このあいだがおかしかったんだと思いますけど……」


 このあいだ、というのは先日祝ってもらったばかりの僕の誕生日。今日の主賓様があれこれ暗躍……じゃなくって画策して下さった結果、あれはサプライズどころかもはや誕生日以外の何か、でした。その筋では結婚式とか言われたりもしたけど、そのような事実は一切ございません。ええ。これっぽっちも。


「もう、喜んでもらえてたんだからいいじゃないですか! それに」
「それに?」
「お店まで道にも迷わなかったですし」
「あのな……」


 じとっとした目線でこちらを睨む先輩だけど、徒歩5分のところをわざわざ事前に下見したのは誰でしたっけ、なんて言ってみると、あっさり視線をそらされた。ふふん、いつもいつもいろいろ言われてますからね、こういうときは言わせてもらいます。


「じゃあさ、次は君がやれば? 僕の気持ちがわかると思うけど」
「やだなあ、知ってるでしょ? そういうの苦手なんです。僕は誰かの後ろについてく人間なんで」


 溜息まじりの先輩の台詞を苦笑いで返したけれど、結構これは本音だったりもする。僕は誰かの前を歩くんじゃなくて、おっかなびっくりついて行く、そんなタイプなのだ。
 だけど。


「だから、やってみれば?」


 そんな僕に、先輩も苦笑を返してきた。そうすれば、今とは違う新しい何かが見えるんじゃないの?、そう言うように。


「……えー、あー、前向きに検討させていただきます?」
「そういうとこ、君らしいと思うけどね」


 何事も経験じゃないかなー、と。肩をすくめて先輩が小さく笑う。うう……


「ま、無理にとは言わないけどさ」
「善処します……あ、そうだ」


 どうせ何かするのなら、そう思って聞いてみる。


「先輩の誕生日っていつです? あの人に手伝ってもらったらとっても素敵な誕生日になると思うんですけど」
「手伝ってもらうって……このあいだどうなったかもう忘れたの?」
「覚えてるに決まってるじゃないですか。今度は先輩もきっちりしっかり主役になってほしいなあ、って」
「断る!」
「えー、それなら僕も何か出来るような気がするんですけど」
「それだったらしなくていい! もっと何か別なことにしろ!」
「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」
「減るんだよ寿命とか!」


 寿命って……まあ、言い得て妙な気も。アレは本当にすごかったからなあ……もう一生ないよ、きっと。
 ともあれ。
 実際のところはどうなるかわからないけど、おめでとうだけは絶対言わせてもらいますからね、先輩。



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現実には特に何もないです!
遠方の人間が段取るとかそんなの普通はない……はずなんですが、くだんの『このあいだ』ったらなかったわ!
あのクォリティは異常。