我々の愛した土曜日は死んだ!

五月からこっち一日もないよ!
どういうことだ!
ということでいつも以上に投げやりに。
アラがあったり落ちてないのはそのせいってことにしておけ。



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「んー……」


 難しそうな顔をしてひとしきり考えてから、先輩が言った。


「えろくないから、没」
「はぁ?」


 え。このひとなにいってるの?
 一瞬意味が分からなかった。ああいや、一拍おいてもやっぱり意味が分からないんだけど。
 とにかく、呆然としている僕をよそに、これじゃ燃えないから書き直して、なんてしれっと言ってる人はばくはつとかすればいいと思う。


「っていうかですね、自分が出てるのにえろくしろとかバカですか? それともやっぱりバカなんですか?」
「僕は平気だ!」


 バカだ。
 バカがいた。


「とにかく、僕とコモリさんをいちゃいちゃさせるんだったら、もっとこう、ね?」
「ね? じゃないですよ。だったら自分で書けばいいじゃないですか」
「……や、僕はちょっとそういう恥ずかしいのは」
「ひとにやらせといて何言うかなこの人は!?」


 もうほんとばくはつすればいい。それか埋まるか。つま先から頭のてっぺんまでずっぽり。地中深く。永久に。


「まあまあ、お話だからいいじゃない。フィクションだって。それにほら、言霊っていうかなんとかから出た真っていうか、こうしてればいつかコモリさんもデレ……」
「うん、それはないんじゃないかな、絶対♪」


 わあばっさり。
 さすがのコモリさん、鼻歌まじりに一刀両断、あとは何事もなかったかのように周りの人とのおしゃべりに戻っていく。これは見習わないと。甘やかしてはダメなのだ。厳しくいかねば。


「ほら先輩、だから言ってるじゃないですか。こういうの、は……?」


 ここで一気に、と畳みかけようとした声が、思わず尻すぼみになってしまった。だって、なんかこう、無駄にショックを受けてフリーズしている人が目の前に。


「ええと、先輩?」
「コモリさん……」


 あ、ダメだこれ。目がうつろ。完全に一撃KO。再起不能で引退に追い込まれた感じ。いや何度目だって話なんだけど。こうなると、フォローが大変なんだよなあ……


「もう、しっかりしてくださいよ。あー、ほらそうだ、ちゃんと書きますから。えろとか無理ですけど、三倍マシくらいにあまあまでキャッキャウフフなやつ!」


 だから正気に戻ってくださいね、とさっき放り投げた原稿に舞い戻る。思うところはいろいろとあるけど、書くことさえ決まってればきっとなんとかなる。と言うかなんとかしないとふにゃっとした先輩とか見てて気持ち悪いし! あれだよね、炭酸の抜けたコーラみたいな? っとに仕方ないなあ、普段ひとのことを散々いじってるむくいだって思うけど、先輩はやっぱり先輩らしくしててもらわないと。
 さあ、ばりばり書いちゃおう。ちょっと待っててくださいね、先輩!



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このあと、
「ちょっと見なさいよ奥さん、あれがイヤよイヤよも好きのうちってやつよ」
「まあまあ本当、口では何とでも言えても、態度に出ちゃうのよね」
とかぴーちくぱーちく謎の外野が……
疲れてるな、とても疲れてる。知ってる。