『半熟作家と“文学少女”な編集者』(野村美月)

いつかたどったその道を、また誰かが歩いていく。
それはきっと、とても愛おしくて嬉しいこと、なんだろうなあ、と。
物語の終わりに、変わらぬ彼女の姿と、そこに繋がる道程を思い出しつつ。


やあ、もう、本当に変わらないなあ、遠子先輩。

相変わらずどこか危なっかしく、どこまでも一直線で、何より道を示す「先輩」であるその姿。
妥協でも迎合でもなく、ただ好きなものを好きでいて、さらにその向こう側をちゃんと見据えられる”文学少女”の姿に、いろいろと考えさせられてしまいました。
信じることですらなくて、ただ傍らに寄り添って、共に足跡を刻んでいく歩き方。
いつまでも、どこまでも。


さて、一方の半熟作家くん。
その半熟っぷりはもうなんと言っていいやら、なのですが、でもおよそ半熟じゃない人間なんてそこらにはいないもの。
独りで切り開いていく者あれば、誰かと一緒に一歩ずつ進んでいく者あり。
どんな形にせよ、進みたいと願う意志があるなら、至ることの出来る場所は必ず。
ここまで歩いて来られたのだから、まだその先にだって。


にしても。
物語はこれで終わる、のだけれど。
どうしてか、まだずっとこの先、続いていくのだなあ、と。
しみじみ思います。