『小説家の作り方』(野粼まど)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

もちろんどんでんは標準装備です、と言ってもそろそろよさそうな野崎まどの四作目。
今回はちょっぴり毛色が違って、比較的コミカル色の強い路線。
序盤の付白さんに、ん?、と思っていると、「ヒロイン」紫さんはその遙か上をいくずれっぷり。
学祭の辺りは、どこかそこはかとなく、登美彦氏の気配も感じたり感じなかったり、いろいろと遊び心の見える展開に、うきうきと。


……もちろん、その裏では何が出てきても驚かないぞ、と思っている自分もいるわけですが。


このわざとらしいまでのノリが、つまり此度の「キャラ」というお題に対する一つの回答でもあるんでしょう。

まあ、後半出てくる「ラノベの人」がいろんな意味でかわいいので細かいことはいいんです。
明らかにダメなあの人がいいなあ、ダメ天才とか分かりやすくていいなあ……


さて、今回のオチ。
多分ある程度の人が読めていたんじゃないかとは思います。
ただ、落として終わりではなく、この先「彼女」はどこまで進み続けるのか、その「果て」に辿り着くのか、終わりなき終わりへ向かうその姿が、なんともすとんと。
もっとも、「人に読ませられるようなものではない」ものを創造出来る時点で、ある意味既にどこかに到達してしまっている気もしますが。


万人が認める唯一は、果たして人に何をもたらすのか。
自分は、せせこましくとも自分の好きを拾って行ければそれで満足です。
くわばら、くわばら。