『ひきこもりの彼女は神なのです。』(すえばしけん)

ひきこもりの彼女は神なのです。 (HJ文庫)

ひきこもりの彼女は神なのです。 (HJ文庫)

タイトルと表紙は比較的ゆるゆるとした感じ。
……ですが、やはりそこは「ヒーロー」のいる世界でした。
なりたくてなれるものじゃない、その幻想。
けれど、不格好でも正しくなくとも、誰かひとりでも認めるなら、やはりそれは存在する、のでしょう。


序盤はわりとお気楽にキャッチーな感じで、異能/異形が人と暮らす風景。
ベタだけどこのノリは好きだなあ。
いっそもう、これでつっきってくれても個人的には満足……だったのですが。
案の定というかなんというか、早々に雲行きは怪しくなってくるわけです。
そもそも冥界の王が理由もなく引き籠もるわけなかろう、という話もありますが。


持つ者と持たざる者。
どこまでいっても真の平等なんてありえない以上、折り合いをどうつけるのか。
そこから生じるすれ違いと傲慢と、それでもなお手を伸ばせる、ということ。
間違えてはいおしまい、なんて、そんなに世の中は甘くなくて、どこからでもやり直せるし、やり直さなくちゃいけない。
で、独りでそれも辛いから、誰かがいる。
のかも、ね。


さて、タイトルのひきこもりさんですが。
それなりに要所で出番はあったり、エピソード披露もありましたが、あんまりメインでもない。
むしろ印象としてはちょっぴりアレな子のウルリカさんの方が強かったりで、がんばれ神さま!
あと一巻からそんなにカミングアウトしてたら引き籠もれなくなるぞ!
でもこの引き籠もり方だと活躍難しいよね……