『シアター! 2』(有川浩)

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)

引き続き「!」の文字に恥じない熱気あふれる展開。
好きなものを好きでいること、好きだと言うことは、対象がモノであれヒトであれ無形の何かであれ、なかなかに大変なことで、そして実にシンプルなこと。
リターンだって考えるし、姑息な計算も妬みも反発も、そこにはある。
苦しくて、でも何より楽しくて、だから、好き。


今回はそれぞれの人間模様がメイン。
前回で基本路線は見せたので、広げたり深掘りしたり……と言ってしまえば簡単なようですが、これがまた。
劇団、というのは本当に不思議な結びつきで、ある意味で家族なんかより遙かに近い関係性。
色恋だってすれ違いだって、それこそ「おはなしみたいな」出来事が本当に起こる場所でもあります。
そこを嫌みにならず、けれど綺麗なだけではない、生々しさと熱を以て魅せる手法は引き続きお見事の一言。
もうね、みんなそれぞれ殺し文句持ってやがんの。
泣くぞ惚れるぞ!、っていう。
引用したいだけ全部しちゃいたい気もしますが、ここはあえて一つだけに絞ります。

「私、声優でよかったって、今いちばん思いました」

もうぐうの音も出ない。
やられた!


エチュードは終わり、ステージへ。
となれば、最後はカーテンコールで綺麗に〆たいところですが……
さて、どうなる、どうする。