『アイドライジング!』(広沢サカキ)

アイドライジング! (電撃文庫)

アイドライジング! (電撃文庫)

エンジェリックレイヤー、というやや懐かし目の単語を思い出したり出さなかったりしました。
……が、そんなことはおいといて。
真っ直ぐに、全力で踏み込む前向きなひたむきさを、気持ちよく読ませてくれる作品でした。
読み出す前は、漠然とした不安があったのですが、ふたを開けてみればとんでもない!
ともすれば、もっとどろどろした展開もあったところを、力強く直球で魅せてくれるお話。
きらきらしてる、という表現をしたいなあ、などと個人的には。


展開としては、オリンさん何やってんすか的な部分もありますが(もうちょい絡んでくると思ってました)、彼女は彼女で、ひねくれているようで純真なようなので、この先があるならまた絡んでくることもあるでしょう。
原作信者的に、モモに原作を叩きつけ、「読んでみなさいよ!」とか言ってぎゃふんと言わせようとしたら、逆にそっちも気に入ったモモにお友達宣言されるとかそんな展開は目に浮かぶようです。
ひねてたら、どろどろしたアイドル業界のいやーな話にもなりますが、今のところそういう素振りも見えないし、というかライバルと書いてお友達になるしかない。
十中八九。


キャラクタのお話でもあるので、ちょこちょこと各人にも。
タキさんは、ああいう性格なので、いいお姉さんとしておいしいところをちょこちょこいただいていくことでしょう。
……でも、本当に嫌なヤツが出てきた場合、彼女噛ませにさせられそうな気も。
エリーはまだまだ未知数、室長とのあの関係性をどうやって話の中に盛り込んでくるのか、は気になるし楽しみなところ。
噛ませ、という意味では、例えば破れて地に落ちた絶対女王、なんて展開も見せ方としてはあって、チャンプとして描き続けるかどうかも個人的には興味深く。
現状、処理オチと初見技以外には無敵っぽい性能なので、トリッキーなやり口以外で攻略法が出てくるのか、もまた同様。


もう一人の主人公・サイさん。
この人も好きです。
夢があって、叶わなくて、でもちゃんと大人になったひと。
走り出したばかりのモモにとって、公私ともに良い先達になってくれるはず。
既にお前らもう付き合っちゃえよ状態ですがそれはそれで。
それはそれで。ええ。
あとは番外、扉絵ですがイラストを振られたマリノさん。
これは今後活躍すると見てよいのでしょうか。
アナウンスだけなんて勿体ない。ぜひに。


綺麗に王道、直球勝負のストーリー。
元気いっぱいに踏み出した第一歩、という印象もあり、この先さらに高く飛翔してくれるんじゃないのかな、と期待しています。