『ほうそうぶ^2』(宮沢周)

ほうそうぶ2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ほうそうぶ2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

タイトル表記は悩んだ末にあえてこうしました。
ただ2をつけるだけだと、どうもやはり……
周りでも、「二巻だと思って買わなかった」的な話はちらほら聞こえました。
これは笑い話のようで笑えない……
それはそれとして、待望の新シリーズは、タイトル通りに放送部所属の面々によるドタバタもの。
地味なようで、校内放送を限定的ながらもある程度自由に使用出来る(……なんか矛盾した表現ですねこれ)のを考えると、いろいろ面白いことは出来そうだな、と読み始めたら——うん、あんまりそういうことじゃなかったね!
……ということで、思っていたのはちょっとばかり方向性が違う作品ではありましたが、ここはいい意味で裏切られたと表現してもいいんじゃないかな、と。
ノリの良さは前シリーズで実証済み、今回もヒロインズはそれぞれにエンジン全開でかっとばしてくれます。
加えて、探偵志望の主人公・沙門くんも、たいがいいい性格をしているせいで、ストッパー不在の場面もしばしば。
この辺は文句なく楽しくて、さあさあいけいけもっとやれ、の勢い。


ストーリーのメインである、兎レポーターを巡る事件は、なんとなく途中で正体が分かってしまい、どうするのかな、と思っていたら、バカ正直に調査報告をあげてしまう沙門においおい、と……
そこはあれだよ、名探偵だのハードボイルドだの気取って、もうちょっとばかし自分の足と目で突っ込んで調べ上げて、謎の依頼者(どう考えても悪役っぽい)の鼻をあかしてやるってなもんじゃないんですか、などと憤ったり。


そんな、若干フラストレーションのたまる展開だったのですが——あの力業は許す!
というかわりと手を叩いて大笑いしてぐっじょぶの気分です。
そりゃないよの声もあるようですが、いいじゃないですかあれ。
理屈なんて知ったこっちゃない、迷探偵かくあれかし。
そもそも、沙門の性格からしてあそこから証拠を並べて揃えて論破する、なんて無理。
偶然と勢いまで含めて、諸々に助けられて成立する名探偵、それはそれでありなんじゃないでしょうか。……ダメ?


とにかく、ラスト手前のあれを喜べるかどうか、というところですが、こればっかりはひとそれぞれ。
僕はOKでした、故に続きにも期待、今度は放送部ならではなネタをもっと盛り込んで欲しいかな、なんて思いつつ。