『レディ・マリアーヌの秘密』(宇津田晴)

レディ・マリアーヌの秘密 (ルルル文庫)

レディ・マリアーヌの秘密 (ルルル文庫)

憧れの人を追いかけて騎士にはなってみたけれど、背を預けられる親友は所詮共に歩む恋人にはなれなくて……とここまででも一つお話になりそうですが、それをさっくり序章で片付けて、ここからがさあ本番。
破れた恋を糧に、可憐な乙女を目指すも——そううまくはいかないわけで。
そんなこんなで始まる、ある意味男前なお嬢様のドタバタ騒動。
と、この辺の設定でだいたいおわかりいただけるかと思いますが、難しく考えないで楽しんじゃってね!、という作品。
実際これが楽しいわけです。
メインのお相手は、最初に関係性を間違えてしまったせいで、この先苦労しそうなロベルトさんになるのでしょうが、その他の面々もなかなか。
ちょっと間の抜けた熱血直情のルースの隊長コールは、そこはかとなくどこぞの騎士団の兄貴呼ばわりを思い出させてくれます。
純真なだけにマリアーヌの女装(ではまったくないんですが、多分こう表現せざるを……)にどぎまぎしてしまう辺りは、もういっそ微笑ましく。
ゴンブリダッターなアルベルトも、わりと好きな感じの空回りっぷりを今後見せてくれそうです。
まあ、個人的にはザ・執事、という感じのカイルが素敵すぎましたが。
ラストのあれはいいよねえ……


彼女が彼女である限り、男性陣はそれぞれ皆苦労しそうですが、この関係性がどう変化していくのか。
ドタバタっぷりも含めて、先が文字通りに「楽しみ」です。