『大祭の夜に 神々の迷宮』（西東行）

大祭の夜に 神々の迷宮 (講談社X文庫ホワイトハート)

前々作・前作が、蒼い衣の吟遊詩人を通したゆるやかな繋がりだったのに対し、今回は前作『神々の夢は迷宮』から登場人物も引き継いで、名実ともに続編。
舞台も同じく、ということで、迷宮そのものよりはキャラの掘り下げ、そしてもう一つ大きな「世界」に対しての言及、という展開でした。
全体として、大きくストーリー自体が動き出す序章めいた展開でもあり、若干お預けをくらった感もないといえば嘘になります。
なりますが、その分もう一つの軸だった、各キャラのあれやこれやはお釣りがくるといってよいものでした。
真っ直ぐなワツレン、それを庇護し支えるエト、一見完璧超人のようでどうにもあちこち抜けているルーザ＝ルーザ、彼らも彼らで、まあなんというか語弊を承知で言うならラブラブなわけですが、加えてズライカ王女にオレクタンテ、という女性陣もなかなかに魅力的。
特にオレクタンテは、なんともこの物語らしく面白いポジションに位置する女性という気がします。
彼女を前にしたワツレンも、ほのぼの微笑ましく。
ルーザ＝ルーザは……あれだ、がんばれ。いろいろ。

まだ続くぞ、と思わせてくれる終わり方だった以上、次もこのメンバーが活躍してくれると期待したいところです。