『フーバニア国異聞 水の国の賢者と鉄の国の探索者』(縞田理理)

異文化交流、その光と影——と、簡単にまとめてしまえばそういうことなんですが、比較的コミカルなタッチで描かれることもあり、深刻になりすぎず楽しめます。
その辺は人によって是非もある部分だとは思いますが、この作品はそれでよいのかなあ、と思います。
序盤の冒険譚的な入りから、これはそういう話なのかしらん……と思いきや、わりと早々に話が進んでしまうのがちょっと残念なところ。
フーバニアの不可思議ながらも魅力的な風土や、おおらかで憎めない人々の姿は、あれだけではちょっともったいない、とさえ感じます。
このタイトル&サブタイトルであれば、もっとボリュームのあるお話として読みたかったなあ、というのが正直な感想。
そうすれば、控えめだったニアを巡る色恋話も……
こちらはシグベルト様がんばれ……と言いたいところですが、ロリンみたいな不器用な男の子もよいです。
むしろ個人的にはロリン一択で。
ともあれ、やや食い足りない、という贅沢な悩みはありますが、お気楽にゆるゆると楽しめるお話なのに間違いはなく。


ところでミツユビウマヅラの全身像(背表紙にあることはありますが、二足歩行とか仮装状態とか)が見てみたいです。
いや、わりと怖いんじゃないかあれとか、馬面のかぶり物かぶったみたいな状態なのかとか……