『東京レイヴンズ 3 cHImAirA DanCE』(あざの耕平)

あとがきの一行目から、あざの作品はスロースターターネタで笑いましたが、個人的にはそういう印象あまりないんですけどね……
DクラにせよBBBにせよ、自分の中では最初からギアは入っている作品と思っています。
後半、さらにギアチェンジして盛り上がるのもまた事実ですが……と、それはさておき。
シリーズもその三冊目、ここらで一発、という展開なのは間違いなく。
新キャラ投入(また濃い感じの)もさることながら、やはり今回は冬児・春虎でしょう。
表紙こそ真ん中を夏目に譲っていますが、今回は間違いなくこの二人がメイン。
もう、どこに出しても恥ずかしくない「おとこのこ」なお話です。
今時殴り合ってわかり合うとかどんな青春ですか。
ひねくれるわけでもシニカルに徹するでもなく、どこか飄々と、しかし親しみやすいキャラクタとして、どうにも直情傾向の強い春虎のいい対比だった冬児が、ここに来て初めて見せた脆さと危うさ。
それをあっさり吹っ飛ばして見せるのは、やはり分かりやすくとも燃える王道展開。
加えて、京子を始め、彼らを受け入れる——という表現はきっと正しくない。のだけれど、あの空気を的確に示す表現が見当たらず——クラスメイトの姿もまた、これが突出した能力を持つ彼らだけの物語ではない、と引き続き示してくれるようで、どこかほっとします。
一方で、今回出てきた鏡以下、大人たちは大人たちらしく、どろっとじめったした感じがそれはそれで良い感じに。
理想・事情・信念・現実、今回もまた、いつかそれらがぶつかり合う展開になるのでしょう。


最後はやはり、今回一番ツボにきたこの夏目の台詞で。

「男の子のああいう関係って、ちょっと——ズルイですよね」

悪友って素晴らしいですね!