『B.A.D. 4 繭墨はさしだされた手を握らない』(綾里けいし)

それを願いと呼ぶか、狂気と呼ぶか。
終わりから始まり、そして終わりへと向かう第四巻。
倍増しでグロい。
最初はどこか少し醒めたような、乾いた視線のせいで、あまりそういう印象を持たないシリーズですが、徐々に徐々に小田桐自身が「当事者」に近づくにつれ、心の振れ幅とともに増してきたそのイメージが、今回一気に。
大概小田桐くん自身も壊れてますが、ある意味今回は一番「正常」に近いところまで来ていたのかなあ、と。
彼方の岸と此方の岸。
傲慢に微笑む繭墨は、たとえさしだされた手を取らないにしても、それでもやはり彼の舫い綱なのでしょう。
反対側は何処にも結わえられてないかもしれないけれど。


そして、個人的な思いですが、「この先」があること/読めることに驚きと喜びを。
幕は下り、舞台ははねたその向こう、果たして待ち受けるは何か?
「神」が再登場したらいいよね!
……よくない?
いや、今回も最後に出てきて全部ぶちこわす、という展開をぎりぎりまで期待していたとかいなかったとかでありまして。
「神」最強。