『サクラダリセット 4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY』(河野裕)

かっちり本編風味+ふんわりの「ある日の春埼さん」+シリーズ外の「ホワイトパズル」、を合わせた短編集。
そういえば、「ホワイトパズル」はデビュー作たる本編より先に世に出たのでした。
何故かあの号はザスニを購入していて、椎名優補正(大大大好き。某ランキングも一位に入れた)に加え、あの世界の透明さに惚れ込んで、『サクラダリセット』も絶対読むぞ、と思ったものでした。
世界の透明さ、そしてすこしふしぎな能力、がキモのシリーズです。
がしかし、同時にその能力を行使する彼ら彼女らは、やはり思春期の少年少女なのだなあ、とあらためて感じさせてくれました。
そこに能力こそ絡むものの、ぶつかる壁は誰もが感じたことのあるような何か。
おずおずと伸ばした腕の先、震える指先で触れ合うような姿は、決して特別な存在などではなくて。
達観していても、ずれていても、隔絶していても、結局のところ彼ら彼女らはどこにでもいる誰か、なんだろうなあ、とか。

一方で、本編はちょっとばかりスペシャルな存在であるところの相麻菫(とはいえ、現時点で見えている彼女の願いは、まだ理解出来る範疇を出ず)がいるわけですが、そんな彼女の見ている未来と、ケイがこれから選択する未来は、どう交錯するのか。
いずれにせよ、「前を向く」結末を迎えるのは間違いないところだと思いますが、今はひとまず春を待つのみ。