『メガロ・オーファン 《遺世界》のものがたり 1 運命の三人』(若木未生)

機械仕掛けの鎧武者――メガロ・オーファンを駆り、神ならざる何者かに定められた合戦が繰り広げられる遺世界。
そこに召喚された二人の少年と一人の少女が織りなす物語。


そんな設定だけ見ればオーソドックスな異世界ものですが、これがちょっと毛色が違う。
まずこの世界がなんであるか、という説明がほとんどない。
そもそもメガロ・オーファンとはなんなのか、合戦とはなんなのか、そんなことは些末事だとでも言わんばかりに、物語は綴られる。
主題はもう、とにかく主役の三人。
あまりにもナイーヴなその姿(ムサシに関してはまたちょっと違うけれど、単に方向性が反転しているだけとも)から削り出された痛々しさこそ、この物語の真髄。
いやもう、お前らもうちょっとあれだ、と言いたくなるものの、これは言ってもしょうがない類のあれなんだろうなあ。
なにせ、たぶん全員分かっててでも変われない/踏み出せない、という若さ故のなんとか全開風味。
これをいったいどうやって収束に導くのか。
今回はあくまで導入止まり、次巻以降の展開を待つのみ。


しかし、一巻だけだとキリヤの扱いがなんとも……ムサシにとっては、例えばヨシツネであっても「理由」になりそうな気がするんだけどなあ……
あと、椎名絵は毎度ながら素敵すぎるのですが、メガロ・オーファンのフォルムはどうしても某日光/月光を彷彿とさせます。
あっちも、和風テイスト入りの機械仕掛けの鎧武者的な造形、と言って言えなくもない?