『うさぎさん惑星。 一周目』（日日日）

うさぎさん惑星。 一周目 (ガンガンノベルズ)

ベースが一話完結連載もの、ということで、持ってまわって落っことす展開ではなく、わりと直截に主張が語られるタイプに分類される日日日作品。
あまりにストレートで、ちょっとこっぱずかしくさえなってしまうものの、一風変わったキャラクタの名前やちょっとおかしな設定をのぞけば、日日日作品の主張はいつもそうなので、別段おかしなことでもありません。
いや、今回も変な名前とか設定は健在なのですが。

「理想郷」の物語、とあとがきにあるように、全体としての雰囲気はわりとふんわり。
いつもの日日日だったら餅が大暴走して人が喰われたりするところですが、そんなこともありません。
代わりに、理想郷が理想郷でなければならない理由と、理想郷と対になる「死の惑星」も用意されていますが、書き下ろしの一話をのぞいて、そこまで深刻には描かれていません。
あくまで、今回は理想郷の物語、ということのようです。
とはいえ、連載は継続中（未読）、舞台は「死の惑星」に移行、ということで、全体としてどうまとめてくるのかが楽しみでもあります。

設定周りに関しては、「恋をすると死んでしまう」病が存在する『みにくいあひるの恋』（MF文庫J）、似たような世界観で、もっと違うとこにぶっ飛んでいきながらアクロバティックに見事大団円を決めて見せた『ギロチンマシン中村奈々子』（徳間デュアル文庫）辺りを読んでみるのも面白いかも。
もっとも、これらに限らず、多かれ少なかれ日日日作品は根底に共通するものがありますが……