比奈・ありさ「あなただけのアイドル」

無事本編も本日中に出来上がりましたとさ。
さておき、はじめに。
ありさせんせいすまぬ……
以下本文どうぞ。




比奈「アタシなんかでホントにいいんスかね……」
ありさ「ふふ、心配しすぎですよ。大丈夫、ありさ先生が保証します!」
比奈「……それがイマイチ信用出来ないんスよ」
ありさ「あら、何か言いました? せんせーには聞こえないなー?」
比奈「まあ、いいっスけど……」
ありさ「——もう。ダメですよ、そんな憂鬱な顔してちゃ。子供たちって聡いんですから、ちゃんと心の底からにこにこしてないと」
比奈「うう、結構緊張してるんスよこれでも。幼稚園訪問なんて初めてだし」
ありさ「だから大丈夫ですって。笑顔を忘れないのと、きちんと向き合って相手をすること。いつものお仕事と同じですよ」
比奈「だといいんスけど」
ありさ「そうなんです。さ、行きますよ!」
比奈「はあ……うん、まあ、がんばるっスよ」

先生「はーい! みんなのためにアイドルのおねえちゃんがまた来てくれましたよー!」
ありさ「みんな、久しぶり! ありさ先生ですよー!」
園児「ありさ先生だー!」
比奈「っ……あの、その……」
ありさ「はい、ちょっと恥ずかしがり屋さんのこのおねえちゃんは、ひなおねえちゃんです!」
園児「ひなおねーちゃーん!」
比奈「はは……ども、比奈っす。よろしく!」
先生「それじゃ、まずはお歌を歌ってもらいましょうね。みんな、拍手!」
園児(パチパチパチパチ)
ありさ「じゃしっかりね、比奈ちゃん」
比奈「了解っス!」
ありさ・比奈「聴いて下さい——」


園児(パチパチパチパチ)
ありさ「さあ、それじゃ次はお絵描きのコーナー!」
園児「……わー」(ざわざわ
比奈「あれ? なんスかこの雰囲気……」
先生「あの、持田さん。やっぱりやるんですか……?」
ありさ「はいもちろん! 私いっつもこれが楽しみなんです!」
先生「そう、ですか……えーと、それじゃみんな、おねえちゃんに描いてもらいたいものがある人!」
園児(ざわざわ)
園児(お前いけよ……)
園児(このあいだオレだっただろ)
園児(うう、しょうがないなあ……)
園児「は、はーい」
ありさ「はい、それじゃそこのアナタ! 何かな?」
園児「えっと……ウ、ウサちゃん?」
ありさ「ウサちゃんね? わかりました! ちょっと待っててねー」(サラサラ
比奈(そういえば、亜里沙さんの描く絵って初めて……って!? え? えええ!?)
比奈「……はい? あの、コレ……スプー……?」
先生「ええっと……亜里沙さんは、その……個性的な絵を描かれるんですよねっ!」
ありさ「そんな、褒められるほどじゃないです♪」
比奈「いや褒めてないっスよね!? 全然ちっともこれっぽちも! それにウサちゃんって言うならこんな感じに——」(サラサラ
園児「おー! ひなねーちゃんすげー!」
園児「かわいいー!」
比奈「あ……えっと……」
園児「ねーねー、次はねこちゃんかいて!」
園児「なんだよ女子ばっかー、なあねーちゃん、カッコイイのもかけるー?」
比奈「うん、まあ……男の子だったらこういうのはどうっスか?」(サラサラ
園児「すげえ! ウィザードだ!」
比奈「アタシとしてはこういうのの方が得意なんっスけどね」
ありさ「みんな、ひなおねーちゃんの絵、もっと見たい?」
園児「みたいみたいー!」
ありさ「それじゃ、ここからはひなおねーちゃんのおえかきターイム!」
比奈「ちょ、亜里沙さん!?」
ありさ「ふふ、いいじゃない。ほら、みんな喜んでくれてるし。それに」
比奈「……それに?」
ありさ「比奈ちゃんもいい顔で笑ってるし、ね」
比奈「あ……」
ありさ「さあ、それじゃ次は何描いてもらおうか?」
園児「えっと、あたしねあたしね——」
園児「オレは——」


ありさ「ね、大丈夫だったでしょ?」
比奈「まあ、結果的にはそうっスね」
ありさ「ほらもう、またそんな顔して。でもちゃんと楽しかったでしょ? みんなの前で、ちゃんと笑顔で、アイドルとして立てて」
比奈「あれってアイドルなんスかね……」
ありさ「あら、みんなに喜んでもらえるのがアイドルじゃないかしら?」
比奈「亜里沙さん……」
ありさ「いろんな形のアイドルがあっていいと思うけど? だってほら、そうでしょう? 私だってアイドルよ?」
比奈「ふふ、亜里沙さんはちゃんとアイドルっスよ。今日の子供たちを見ててよーくわかったっス」
ありさ「あら、ありがとう。でもこれで負けてられないかな、今日で比奈ちゃんのファンもいっぱい出来たみたいだし」
比奈「アタシなんてまだまだっス。……あ、そうそう、一つだけ訊いときたかったんスけど」
ありさ「何かしら?」
比奈「ええと……あの絵、アタシのためにわざと描いてくれたんスよね?」
ありさ「——比奈ちゃん」
比奈「は、はい!?」
ありさ「世の中には知らない方がいいこともあるのよ?」
比奈「そ、そそそそうっスね! うん、アタシ何も見てないっスよ! ちっとも!」
ありさ「……なんてね」
比奈「へ……?」
ありさ「さ、帰りましょ♪ 今日の成果、報告しなきゃ♪」
比奈「いや、ちょっと待って欲しいっス! 結局どっちなんスか!? 亜里沙さん、亜里沙さーん!!」



おしまい。
重ねて、ありさせんせいすまぬ……すまぬ……