『憑き物おとします』（佐々木禎子）

憑き物おとします (幻狼ファンタジアノベルス)

オタクホストの著者・イラストコンビの新作。
今回もまた、程度の差はあれ変わり者が集ってのお話。
当たり前のように霊が存在するようになった世界で、商売として成立している「霊障に対する保険」。
そんな保険を扱うとある会社と、そこにスカウトされた（やや語弊あり）、実家の寺を出奔して暮らしていた主人公を中心にしたドタバタ騒動。

ちょっぴりほろりとする成分を含みつつ、同居するズレた死神やら唐突に守護霊が出来ましたやら、基本は飄々としたテイスト、なのですが……
二話目はこれがなかなか「怖い」話。
事件解決こそ笑いで落としている部分もありますが、そのどこにでもありふれた想いの一歩向こうにある執着がもたらすもの、というのはやはり。
いつの世も恐ろしいのは、とは、ちょっと違ったニュアンスで作中でも触れていたかと思いますが、まさしく然り。
これが肝になるんだろうなあ、と。

……ところでこれ、キャラの配置を考えると死神さんの立ち位置が今一つ見えない。
守護霊ちゃんがいれば、物語的にはわりと必要十分なような。
アイデンティティが問われている気がしてきたので、死神さんには是非がんばって欲しいところ。
死神ノートとかそういうキャラ立てじゃなくて、もっとこう、なんか！