さぼってもいいんじゃないかとは正直思う

そして頭が寝てるからネジがゆるんでるなこれ……
若干やりすぎた気配。
でもめんどくさいから直しません。
一発書きクォリティ上等、それがこの企画。



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「ねえ、どういうことさ」


 朝からなんだかご機嫌ナナメの先輩。普段あんまりそんな顔しないから、妙に迫力が……


「えーと、なんかしましたっけ、僕」
「したんじゃなくて、しなかったの」


 ぶすっとした感じのその一言に、はて、と考える。頼まれごとなんて特に記憶にないんだけど……うぅ、これはもしかしてマズい、のかな。


「すみません、ちょっと、その、なんのことだかさっぱり」
「だーかーら、いつものヤツ。書いてないよね、昨日」
「……はい?」


 書いてないって、もしかしてあれ? あれのことなの? あの2次元がどうのとか交換日記とか言われちゃってる、あれ?


「あのですね、先輩。別に毎日書くとか決めてたわけじゃ」
「でも今まで書いてたよね」
「まあ、そんな気もします」
「気のせいじゃなくてそうなの。僕はちゃんと毎日読んでたし」


 物好きですよね、ホント。そんなんだから、あることないこと言われちゃうんですよ、と茶化したいんだけど、ごめんなさい先輩なんか目がマジです。怖いです。


「それがいきなり休むとかさ、なんかそういうの」


 心配するじゃん、と。
 やたら不機嫌そうな様子で、先輩はそう言った。
 ——え、何嘘ちょっと待って、怒ってるじゃなくて心配してた、の? いやいやいや、なんかおかしいよねそれ! だってそういうのってさ、うわなんだろこれ、どうすればいいわけ!? もう!


「で、どういうことなのさ。何かあったわけ?」
「う……いや、その」


 忘れてましたとか、たまにはいいかなーと思ってとか、そんな答を返そうものなら、いったいどんな目にあわされるんだろう、というこの迫力。やれば出来るじゃないですか先輩、普段のだるそうなイメージもこれで払拭ですね!
 ……じゃなくて。
 どうしよう、これホントいい加減なこと言ったら……とぐるぐるぐるぐる考え続けた結果。


「いいアイディア思いついちゃって、ちょっと落ち着いて書きたかったんですよ!」


 そんな口から出任せをぺらぺらと喋る僕がいたのでした。
 ああ、もう、ばか——!


「へえ、そうなんだ」


 だけど、八の字に寄っていた眉をふっとゆるめた先輩は、


「じゃあ、今日のを楽しみにしてるから」


 笑顔でそんな台詞を言ってくれやがるのでした。こいつ、ハードル上げやがった……


「いやあ、楽しみだなあ。どんなの読ませてもらえるのかなあ」
「……あの、先輩。もしもの話なんですけど」
「ん? なに? 今僕機嫌いいから何でも答えちゃうよ?」
「例えば何かの間違いで、今日も書かなかったりしたら」


 どうしますか、と言い終える前に、ハッ、という先輩の冷たい笑いに遮られた。そして何言ってんの、という顔ですよ。なんだこの人。


「まさか、万に一つもそんなことないと思うけど? 僕は信じてるし」
「そう、ですよね」
「ああでも、もしも仮に書かなかったら」
「……書かなかったら?」
「明日の期待度がさらに上がるだけなんじゃないかな」
「おに! アンタおにだよ! このあくま!」
「ふふ、よく言われる」


 ダメだこいつ……! 誰かなんとか……


「うん、でもさ。楽しみにしてるってのは本当だから」


 お願いします、とぺこりと頭を下げる先輩。ほんとにもう。


「だーかーらっ、そういうのやめてくださいって」
「やだ。約束してくれないとやめない」


 ああもう、わかったわかりました、僕の負けですそれでいいですだから普通にしてて下さい! 落ち着かないです!


「仕方ないなあ。んじゃ、待ってるからさ!」
「善処します……」


 ふんふふん、と鼻歌まで歌いながら、さっきまでの不機嫌さはどこへやら、足取りも軽く立ち去る先輩。なんだろうなあ……まあ、そりゃ、理由が何でも楽しみにしてくれる人がいるのは嬉しいけど、さ。
 でも。
 やっぱりあれはないよなあ、そうだよね? 誰だってそう思うよね?
 ——よし、だったら先輩のアレな人っぷりをじっくり書いてみよう。ふふん、せいぜい楽しみにしてるがいいですよーっだ。