『それがるうるの支配魔術 Game1:ルールズ・ルール』(土屋つかさ)

それがるうるの支配魔術Game1:ルールズ・ルール (角川スニーカー文庫)

それがるうるの支配魔術Game1:ルールズ・ルール (角川スニーカー文庫)

それはゲームであり、そして魔術でもあり。
すなわち統べるもの——法則こそがテーマ。
そんなわけで、ぶれないなあ、という感じの土屋つかさ作品。


とはいっても、もちろん変化している部分はあれやこれやと。
ゲームは物語の一アイテムから、より一層その中核へと組み込まれるそれになり、一方の魔術も、その法則を見いだすことにより打ち破ることが可能、という主人公の性質から、ただ手の届かない奇跡ではなくなり。
両者が歩み寄った、その中心にある「ルール」こそが、この物語を記述している……のかもしれません。


今回のゲーム、サブタイトルにもある「ルールズ・ルール」が、隠された法則による場の支配と、ソレを見破ることが勝利条件、という、物語全体との相似形だったのも、その一端にも見えます。
となると、今後どんな「ゲーム」が登場してくるのか、も気になるところ。
対角線上の「魔術」も、単に法則を一つ見いだすだけでは破れないようなものが現れる、そんな予感は誰しも持つんじゃないかなあ、とも。
それが繰り返されていけば、終着点はある意味とてもシンプルな何かに到達しそうな気も……なんて言ったら気が早いですか。
まずは階段を一段ずつ、彼ら彼女らの身の回りから、その「支配」する領域が広がっていくのを見ていきたいところ。


そしてキャラクタ方面は、それなりにクセのあるタイプで固めつつもどこかキャッチーな感じ。
シリーズ1冊目から、それぞれがそれぞれに裏も表もあるんだよ、と見せてくれた大盤振る舞いですが、さてそれをどううまく織り込んで転がしてくれるのか。
のっけからややこしい語り口でインパクトを残してくれた、晶にも光が当たるのを期待したい次第。
いやもっと出番があってもいいでしょうあれは。信じてる。


いろいろと惜しげもなく手札を晒したようにも見える1発目ですが、ここからさらに二枚目三枚目の切り札を期待したい、そんな幕開けでした。