『喰 -kuu- 2』(内田俊)

喰-kuu-2 (MF文庫J)

喰-kuu-2 (MF文庫J)

燃えさかる炎のようだった前回と比べると、少々おとなしめ。
団体戦の事情はわりと切羽詰まっている……はずなのだけれど、何かもう一つ足りない。
日常パートが日常パートとしてよかっただけに、肝の大食い部分の比重が弱い気がして、面白いのに手放しで喜べないジレンマ。
むむむ。


井ノ原のあほの子っぷりとか、仙石先輩のアレっぷりとか、そういうのをいかんなく発揮出来る、という意味で、日常パートは楽しいの一言。
部長の残念モードも含め(ケツ毛ファイヤーのことは忘れてるわけじゃないですよ)、ぐだぐだだらだらトークだけもいける気がします。
真白は好き嫌い分かれるところかと思いますが。
真っ直ぐすぎるのは美徳か否か。


……がしかし、やはりタイトルがそうであるように、この作品は大食いなくては始まらず。
その「なんでそれを」と誰もが思うところに、これ以上ないくらいの熱意とアイデンティティをこめてこそのお話。
よって、今回もそれなりに大きなものを背負って、しかも単に自分との戦いなだけではない、初めての対外試合——他者との戦い、となれば盛り上がるはず、なのですが。


団体戦だったのがまずかったのかなあ……
真剣勝負のうち何割かに、ギャグが混じってしまった関係で、最後だけが急に盛り上がったように見えてしまいました。
とはいえ、マジで五番勝負やると胸焼け間違いなしなので、ここは控えている全国大会への課題、になるでしょうか。
笑いも涙も怒りも情熱も見せられます、その上で、何を見せるか。
団体戦の見せ方がきっちりはまったとき、一巻を越えるものに会える気がしています。
それくらい欲張らせて下さい、だって面白いんだもの。