『子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき』(玩具堂)

論理的に導かれた真相と、相談者のために考え出された解答。
ロジックとマジック、相反する両者をさらりと並べてみせる……なんていうと少々大げさですが、そういう魅力を持った作品。
まあ、それをぶっ飛ばしちゃうような力業を発揮して下さる方もいたり、そもそも相談者の方も大抵おかしかったり、その変化球具合もまた楽しいのですが。
その意味で、サトウさんが全部持ってった気もしないではない。


相変わらずツンダラさんが光る展開ですが、佐々原さんもなかなか見せ場ありの今回。
部長さん&会長さんの策士っぷりも好きな身としては、色恋方面はもっとゆっくりでも構わないのだぜ、と思ったりもしてしまいますが、このじわじわ感もよいよい。
でもやっぱりツンダラはツンダラがいいわけで、仙波さんのターンはまだ先でいい。
代わりに、思わせぶりなラストから次巻は新キャラが引っかき回してくれそうな感じなので、そちらに期待。
佐々原さんきょどらないかな(非道


そして新キャラといえばサトウさんです。
あれはおいしい、キャラもおいしければポジションもおいしい。
部長が卒業してしまうのに涙をのんでも、彼女が入学してくる新学年編があればいいよ!(気が早い
あの場面で出てくる必然性ゼロなのも素敵。
準レギュラーくらいでがんばっていただきたいところです。


お話的には、会長イズムが全開の第三話が好み。
仙波さん、なるたま、佐々原さん、それぞれに見せ場もありました。
二回言った、のくだりはたいへんすてき、ぎゅっとする。


さてさて。
日常の謎を解く、という意味。
それはある意味で答のない問に対する解答、でもあります。
ロジカルでも、こじつけでも、正解の保証なんてどこにもなくて、だから解答を「考える」余地がある。
今のところ、持ち込まれた相談事——他人の問題の解決に終始している彼らですが、この先自分たちの問題に直面したとき、さてどんな答を出してくれるのか。
色恋もまた、日常の大いなる謎、なのです。