『空の彼方 2』(菱田愛日)

空の彼方〈2〉 (メディアワークス文庫)

空の彼方〈2〉 (メディアワークス文庫)

待っている者だからこそ出来ること、を前回見せてもらいました。
今回は、逆にだからこそ出来ないこと、そしてもう一歩踏み込んで、その先を見せてもらったように思います。
信じることの強さと怖さ、なによりその意味。
「約束」はプライスレスの信頼だけを担保にした契約だけれど、だからこそ守りたい/果たしたいという願いは、時に何よりも強いものになる、のかもしれません。


お話の方は、穏やかなそれを予想していると、序盤はわりとどきっとする描写も多かったり。
え、ちょっと大丈夫なの?、とはらはらします。
いやこれ、実際に一歩間違ったらですとろーい!なわけで、あとがきの記述もむべなるかな。
うざくなりかけたのは彼なのかなあ、でも後半もっと出張ってくれてもよかったよなあ……
アルフォンスにはああいう「友達」が必要な気がする!


ソラの在り方、というのは健全ではない、と思います。
何もかもを見守るのはたぐいまれなる強さではあるけれど、それを維持し続けるのはつまりどういうことなのか。
皆の帰る場所がそこならば、彼女自身が帰るべき場所はどこなのか。
その手の届かない場所で起きる/起きた出来事だけが、彼女を規定してしまっている以上、これはやはり彼女の物語。
扉の内と外を繋ぐたくさんの「約束」が、新しい明日を運んできますように、そう祈りつつ。