『おちゃらけ王』(朽葉屋周太郎)

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)

登美彦氏を彷彿とさせるノリ。
奇想やナンセンスさ、腐れ大学生度合(何それ)ではやはり劣りますが、ベクトルは若干違うのではないかな、と思います。
故に比べるのも変な話、そんなことはわきにうっちゃっておいて、だばーっと流されるように楽しむが吉。


極論、バカだなあ、で終わってしまう話ですが、バカというのは非常にかわいいものです。
やることなすこと滑稽で、しれっとよく分からない超常能力までなんでもないように織り込まれていますが、別にいいじゃん、と思わせてくれるこの勢い。
妹ちゃんの能力なんて、なんじゃそりゃとしか言いようのないそれなんですが、絵面を考えるとどうにもかわいくて万事OK。
……ところで、余談ながら最初は空想上の妹かと思ってましたよわりと本気で。
よかった。


そして、バカだけで突っ走るかと思いきや、適度に盛り込まれるいい話成分。
そのまま真っ直ぐ進めばもっと真っ当な道を歩けたろうに、君らどこで間違えたかね、と言いたくなったりもしますが、あの活き活きした様子を見れば、きっとこれはこれで正しい道だったんでしょう。
世の中、笑ってるヤツは強いし、そういうヤツがそばにいればなんとかなります。
ダルガリアに君臨せずとも。


ところで。
読み終えれば分かることですが、最高に最低の悪友がいて、可愛らしい妹ちゃんがいて、あまつさえあれはそれなわけで、わりと恵まれてますよね彼。
でも格好良い(ところもある)からいいのか。