『死神少女と1/2アンデッド』(佐々原史緒)

死神少女と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

死神少女と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

ここ最近、主人公が死んだところから始まる作品が妙に固まって出ている印象がありますが、こちらはちょっと違ったテイスト。
佐々原さんなのに、とちょっと意外に思ってしまうダークなテイスト。
彼岸から還る、というのはやはり「異常」なことなのだ、そんな当たり前のことを突きつけられるような展開が続きます。
日常パートがあるだけに、これがまたつらい……


そんな中、死神さんとそのお供(お供の方がたぶんえらいんですけど)のキャラが比較的軽めなのが救い。
むしろいっそ、ここも殺伐キャラを持ってきて、徹底的にダーク……にはならない辺りは、この人らしさなのやも。
あとがきには、ある程度のところでやりすぎない展開にするのは決まっていたとあるので、鬱々とすることもありつつ、ラストはそれなりに笑顔で迎えられる、のかな。たぶん。


死神と半死人が主人公である以上、当然出てくる「彼岸の存在」ですが、こちらもやはりビターな感じ。
彼ら彼女らは既に生者とは異なるものである、という描写が、生前を知るものに与える痛みは鈍く重く。
ただ、それでも、と繋ぐところは、きっとこの物語の終幕において、最も「怖い」ものが何なのか、というのはそこはかとなく予想させます。
幽霊なんて怖くない、とは言わないけれど、想いを残すのは、何も恨み辛みだけでもなく。


正直、今、このテイストが受け入れられるのか、というところに不安を感じてしまわないでもありませんが、来月の(そう、来月もう出るのです)二巻で前向きな展開が見られることに期待しつつ。
……いやだってほら、死んだままとか嫌じゃない……