『彼女は戦争妖精 小誌篇 3』(嬉野秋彦)
- 作者: 嬉野秋彦,フルーツパンチ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2011/02/28
- メディア: 文庫
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あれあれ、と振り返ってみれば、確かにエピソードもいろいろこなしてきたし、本編最新刊では大きな動きもありました。
クライマックスは近い。
そんな中での収録作は、連載分の過去話一編、書き下ろしのこちらも過去話一編、あとはちょっと息抜きの書き下ろし現代もの一編。
ラストの現代もの、【毒舌の書】は、タイトルとは裏腹にほっとする内容。
七巻がああいう話だっただけに、こういう他愛もない展開で、まだ二人がそれぞれ笑顔になれることに少しほっとします。
連載分の【復讐者の書】は、正しく現在へと繋がる過去の光景。
薬子、伊織、頼通、誰もが今と少しだけ違う空気をまとっていて、けれどこの先にある路を歩き続ければ、確実に今の姿に至るであろう、という予感。
薬子は好きなキャラなので、何を背負うにしても、擦り切れるのではなくどこかに辿り着いてほしいと切に願います。
おさな伊織は既にいけすかない感じですが、相応に幼くてよろしい。
そんな中、ちっともぶれてない女装江戸っ子ことエルクさんは、やはり最年長(間違ってはいない)の貫禄でしょうか。
もう一編、【裏切りの書】はサブストーリー然としたサブストーリーとでも呼ぶべきか、本編では仄めかされるだけになるであろう、舞台裏めいた話。
いろいろと示唆はされていたものの、あの人の消息がはっきりと述べられるのは初めて、かな。どうだったかな……
ミンストレルの中でも、お嬢様ほど強烈ではなくとも、静かに光の当たり続けるマドモアゼルのエピソードも、あの人が本編終了時、どういったポジションでそれを迎えるのだろう、といろいろと考えさせられます。
薬子と並んで気になる御方。
あとがきにもキャラ構想なんかが記されていて、いよいよクライマックスは近いとひしひし感じます。
次は春と呼べるうち、とのことなので五月か六月か、ラストスパートが楽しみです。