『パニッシュメント』(江波光則)
- 作者: 江波光則,海童博行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 文庫
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——うん、お前ら正座な。
またけったいな作品を持ってきたもんだなあ、としみじみ。
見晴らしが良好だったのは第一章まで、あとは崖から足を踏み外したように、ひたすらに転げ落ちていく展開。
これをして「ローリング」と評したのであれば、帯のキャッチは天才的だと思います。
これだけでも十分に暗い魅力を放つ「本当は怖い学生生活」はトッピング、「新興宗教」という素材をメインに据えた展開は強烈。
一見するとどこにも逃げ場のない世界の中で、壊れていくしか他にない物語、だったかもしれません。
その中で、安易に逃げるでも、目を背けるでもなく立ち続けた常磐の強さが光ります。
……もっとも、それこそが「普通」なのかもしれませんが。
この物語の中で、きっと誰もが渇望していたような。
スクールカースト、ヒエラルキーの逆転、とそこまでであれば、目新しいとまでは言えない題材ですが、そこに神さまが絡んできた途端に、その抗いがたい魅力——「気持ち悪さ」が数倍増しになっているような気がします。
姿は見えず、声は聞こえず、ただ静かに、しかし悪趣味に。
——ああ、されど神は居ませり。