『パニッシュメント』(江波光則)

パニッシュメント (ガガガ文庫)

パニッシュメント (ガガガ文庫)

読み終えて、あらためて表紙とあらすじと帯を見る。
——うん、お前ら正座な。
またけったいな作品を持ってきたもんだなあ、としみじみ。
見晴らしが良好だったのは第一章まで、あとは崖から足を踏み外したように、ひたすらに転げ落ちていく展開。
これをして「ローリング」と評したのであれば、帯のキャッチは天才的だと思います。


これだけでも十分に暗い魅力を放つ「本当は怖い学生生活」はトッピング、「新興宗教」という素材をメインに据えた展開は強烈。
一見するとどこにも逃げ場のない世界の中で、壊れていくしか他にない物語、だったかもしれません。
その中で、安易に逃げるでも、目を背けるでもなく立ち続けた常磐の強さが光ります。
……もっとも、それこそが「普通」なのかもしれませんが。
この物語の中で、きっと誰もが渇望していたような。


スクールカーストヒエラルキーの逆転、とそこまでであれば、目新しいとまでは言えない題材ですが、そこに神さまが絡んできた途端に、その抗いがたい魅力——「気持ち悪さ」が数倍増しになっているような気がします。
姿は見えず、声は聞こえず、ただ静かに、しかし悪趣味に。
——ああ、されど神は居ませり。