『ウィザーズ・ブレイン VIII 落日の都 』(三枝零一)

いきなり口絵にやられたりしましたが(うん、まあ本編中ではあんなことだろうと思ったけどね!)、基本的には重苦しい展開の続き。
「悪人」はいない、だけど世界は「善意」だけで回るものではなく。
ただそれぞれの意志と生き様が、混迷する事態を加速していく。
各人が、それぞれの都市でのエピソードを紡いでいた頃は、全員が顔を合わせる場面をよく想像したものです。
ただ、「その先」を正しく思い描いていたかといえば、決してそんなことはなく、漠然とオールスターズという絵空事を夢見ていただけ、でした。


そして、現在があります。
魔法士たちは集い、しかしそこに楽園などあるはずもなく。
責めを負うべきは誰か、という答のない問いは繰り返されます。
決して「正しく」はない道を、その信念故に歩み続ける神戸組の姿も、もはや何と言っていいのか。


求められているのは、すべてを覆すような起死回生の一手でも、ただ独りで誰もを救済してしまう英雄でもありません。
人と魔法士を繋ぐもの。
このキツイ展開の向こうに、わずかでも希望が見えることを願います。


さてさて、そんな本編の進行は進行として。
いや、ようやく言及されるシーンがきました、千里眼&指ぱっちんペア。
このカップリングは前々から何かやたらとツボです。
もっといちゃいちゃすればいいのに。いいのに。
あとは、末っ子くんが熟年夫婦みたいに安定しているので、真昼と月夜もそれぞれのお相手と仲良くしてほしいところ。
その点、真昼は今回やってくれました。
言いたいことはありますが、真昼なので仕方ありません。
サクラの反応で許します。
黒沢さんもなんとかならないもんですかね……いつまでもストイックに独り孤高じゃなくて、背中を預けられる戦友を見つけてほしいのですが。