『青春ラリアット!!』(蝉川タカマル)

青春ラリアット!! (電撃文庫)

青春ラリアット!! (電撃文庫)

愛すべきバカどものお話。
予告ストレート、というのはやはり気持ちいいもの、です。
一応の主人公たる宮本は、どうにも振り回されっぱなし、長瀬&月島がぐんぐん話を引っ張っていくわけですが、それでも妙に憎めないのがその宮本。
チキンと呼ばれロリと呼ばれ(呼んでるのは長瀬オンリーだとしても)、見せ場は最後の最後までやってこないのに。
両輪が極端すぎるが故に、彼がいないとまわらない、という都合もあるにせよ、この適度なダメっぷりが親近感、なんでしょうか。


一方で、分かりやすいバカ・月島はお約束通りに熱いバカ。
最後まで貫けるバカは、いつの時代も格好良いのは変わりなし。
眩しい。
そしてもう一人のわりと残念な感じのバカ・長瀬は最後まで話を盛り上げてくれました。
一周回って何かをいろいろと間違えていながらも、決定的なところでは間違えない、というのは、正しく主役の属性。
ヒロイン、ではあるけれど、それ以上に主役、の印象。


特別なことなしに、分かりやすく恋を原動力に突っ走るその様は、文字通りに青春の一言。
うだうだする場面もありつつ、けれど三人が三人なので、誰かがそこをぶっちぎってくれる安心感。
賑やかな日常、というのはいいものです。