『はぐれ勇者の鬼畜美学IV』(上栖綴人)

はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ)? (HJ文庫)

はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ)? (HJ文庫)

今回はわりとがんばって胸揉んでました……というのはともかくとして。
——動いた。
ちょっと予想していたのとは違う方向に一気にお話が動いて、俄然盛り上がってきました。
アレイザードのあれこれが、よもやここまでメインになるとは。
魔王亡きあと、かつ勇者もまた去った世界、ということで、一つこれも「その向こう側」を描いた作品だとは思っていたのですが、あくまでアカツキのいる現実世界こそ、メインの舞台だと考えていました。
それが、いやいやどうして、もうばっちりアレイザードが話の軸に。
どこまでも現実的な人々の思惑と、それを打ち砕く理想を見せつける「勇者」の在り方。
彼は彼として、この先も良しと判断したことを迷いなく貫き続けるだろうと、そう確信出来る熱い展開でした。
ラストの決断もまた、一時の勢いだけではなく、見据えるものがあるからだと信じられます。


どうにも焦臭い「真実」もあるようですが、たとえそこで折れたとしても、その時はミウにリスティ、あるいは委員長のターンが待っているであろうことを思うと、それはそれで苦しくとも楽しみ。
あとは、この盛り上がりっぷりを、再度現実世界とどう絡めていくか。
この融合がきっちりはまれば、さらなる高みにたどり着けることは間違いなし。
それ別に鬼畜じゃないよねとかもう気にしない、とにかく先が楽しみです。