『春の女神と銀雪の騎士』(森崎朝香)

春の女神と銀雪の騎士 (講談社X文庫ホワイトハート)

春の女神と銀雪の騎士 (講談社X文庫ホワイトハート)

恋愛って何それおいしいの系旦那様と、そこに嫁いできたお嬢様。
……とだけ書くと、お約束ですが、旦那様のだめっぷりが、なんかこう。
なんかこう、ねぇ?
完璧人間であるが故に、無自覚に悪意なく他者を否定し、ノイローゼに追い込む姿は、直近だと『姫婚オールアバウト』の魔王さまクラスです。
そりゃ前の婚約者も逃げるってもんですよ……
そんなこんなで、序盤はとにかく好感が持てません。
これはもう、従兄弟のお兄ちゃんがかっさらいにきてくれるストーリーでもいいんじゃないか、と思うレベル。


グリース夫人との一幕も、あそこから実は……とやってくれると思わせておいて、なかなかどうして変わらない。
そしてあらすじにもあった「一夜の過ち」エピソード。
若干あらすじ詐欺じゃないの、という展開ですが、ようやくあの辺から転び始めます。
旦那様としてそれでいいのと思わなくもないのですが。


それでも終盤は、転がりだしたら一直線、のお約束を果たす行動力を見せてくれたので、どうにか及第点の旦那様。
一方の苦労人妻と化したメルティーナは終始けなげなこと……
本当に、いろんな意味でこれからの二人ですが、なんとかうまくやっていってくれるのを祈るばかりです。
まずはスーパー小姑のグリース夫人攻略からですが……この無理ゲーっぽさはなんだろう。