『俺たちのコンビニ 新米店長と仲間たち』(峰月皓)

前回、すったもんだの末にやっとこさっとこ開店して経営に乗り出した、ビギナーコンビニの明日はどっちだ、という二冊目。
例によって奇跡は起きません。
いきなりバカ売れして地域一番店になる、なんて話でもなく、早々に現状が赤字経営であることが明かされます。
何かがうまくいきそうになると問題が起きて、どうにも先行きの明るくないことばかり。
それでも、彼ら彼女らがなんとかしてそこを乗り切っていく姿は、確かに文字通り「俺たちのコンビニ」なのです。


亀の歩みでも前には進んでいるので、賽の河原、とまでは言いませんが……本当にもう次から次に問題が。

そのどれもこれもが、どこにでもありそうな問題で、されど起きてしまえば途端に難題となっておそってくるそれ。
頼れる味方はそう多くはなくて、しかも誰にも立場があったり自身の選択した結果もあったり。
もうちょっと優しくしたげて、と思ってしまったりもします。
が、ここからその「日常」を取り去ってしまったら、それはやはり違う物語でしかない、のでしょう。


新米店長と仲間たち。
彼らが肩寄せ合って知恵を集めて伝手をたどって、示すもの。
正しさだけでは回らない現実と、正しさがあったから成し遂げられたこと。
奇跡じみた何かは起きないけれど、そのコンビニには今日とは違う明日が毎日やってくる。
等身大の希望がそこにある、ような。