『ゴールデンタイム 2 答えはYES』(竹宮ゆゆこ)

前回ラスト、思いもよらなかった派手な一撃をくらわせてくれたので、さてどう進むのかしらん?、と思っていたら……嬉し恥ずかし大学一年生であった。
いや、「彼」もちゃんと健在だし、エピソードとして流されてしまったわけでもないのですが、メインはいかにもな大学生活。
それがリア充と称される何かであるかどうか、は人それぞれの見方として。


いろいろあったけど、お嬢様はやっぱりどこまでもきらきらお嬢様で、気前の良い先輩は頼もしくて、まあまあにしてそこそこに、それなりに、未来は明るい……と言いたいところでしたが。
人間、そんなに簡単にリセット出来るいきものなら、めんどくさいことなんて一つもない。
見たくなくても見えなくても、振り返ってしまえば過去はそこにあってずるずるとどこまでもついてくる。
履修にまつわる駆け引きや、羽目を外した飲み会、そんなありふれた光景を描きつつ、そこはやっぱりゆゆこさん、こいのうたは甘くはない。
不器用に、でも誰も相手に届けと歌うそのうた。


失ってしまったと思っていたものかもしれないし、
忘れてしまいたいものかもしれないし、
何より今手にしたいものかもしれないし、
それぞれがそれぞれに、届いたり届かなかったり届けられなかったり、こいのうた。


さて。
一つの前進を見た結末ですが、もちろん単にハッピーなだけじゃないのは明らか。
同時にしでかしたあまりに大きな一つの後退は、この先物語をどう動かしていくのか。
そしてもちろん、忘れちゃいけない「彼」の存在、それは何のためか、誰のためか。
まだまだ波乱は続きそうです。
……とかいって、これで次巻まるっと一冊キャッキャウフフ展開だったら……いやそれもありか。
そのときはちゃんと「ばくはつしろ!」って言ってあげる。
大丈夫だ、問題ない。