『カフェかもめ亭』(村山早紀)

(P[む]1-4)カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[む]1-4)カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)

すこしふしぎ、な幾つかのエピソード。
その大半がここで起きたことではないけれど、そのどれもがここで語られた、それこそがかもめ亭の、そして何よりこの物語自体の魅力、なのだと思います。
お好みのエピソードとしては、砂漠の花/水仙姫/ねこしまさんのお話。
アクセントになっている銀の鏡ももちろんいいし、万華鏡の庭みたいなちょっとしたほろ苦さもいい……なんて言い出すとキリはなく、つまりは総じて好き、なのですけれど。


あっと驚く展開、そういったものはありません。
でも、素敵なお話ってそれだけじゃないよね、そんな静かな主張にも感じます。
誰かにとっての「特別」は、やはりそれだけで価値ある何か。
ゆっくりと、もう少し耳を傾けていたい、そういう気分です。
それこそ、カフェオススメの一杯をかたむけながら。